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映画「嫌われ松子の一生」
どこかの下町の、錆びて寂れた古アパート。

そこに、ホームレス同然の、全ての人生に疲れた一人の女性の姿。
近寄るだけで異臭がし、アパートのルールも全く守らない。
普通の人だったら、見なかったものとして視界から排除するか、露骨に怪訝な顔をして目を背けるだろう。

だが、きっとこの原作者(山田宗樹)はこう思ったのではないか。

「この女性は、今まで一体どんな人生を歩んできたのだろう?」

「どのような人生を送ってきて、結果、今このような生活を送っているのだろう?」と。

そんな、作者の視点の鋭さと優しさがが感じられる、この「嫌われ松子の一生」
2005年8月~2006年1月にかけて、4回に分けて一人でインド一周を成し遂げた中谷美紀の、直接のインド逃亡へのきっかけとなった映画という事で、以前からずっと気になっていた。

裕福な家に生まれたはずの音楽教師・松子は、生徒の窃盗をかばったばっかりに20代で教師をクビになり、家を飛び出す。
それからも、信じた男に殴られた上、自殺されたりさらに別の男に騙されやがてソープ嬢に。
しかし、今度はヒモを殺害してしまい刑務所へ。
そして、出所してからも松子の不幸は続き、53歳の時、ついに…。

女の子なら誰だって、シンデレラストーリーに憧れる。
誰かを本気で愛し、傷つき、それでも愛する人への思いを胸に夢を見つづける松子。
しかし、現実には彼女はことごとく他人に裏切られ、不幸になってゆく。それでも人間を信じ続ける事をやめない松子。

中谷美紀自身が「この役を演じるために女優を続けてきたかもしれない」と言っているほど、本人がほれ込んでいる役どころ。
きっと、彼女は松子に入り込みすぎて、ボロボロになってしまったのだろう。彼女自身が、あのひょっとこ顔の練習を毎晩鏡の前でしていたのだと思うと、可笑しさを通り越して彼女の女優業にかける真摯さが伝わってくる。

本来はこれ以上悲惨な物語もないと思うが、それをコミカルなミュージカルシーンも交え、悲惨さを超えるポジティブなエネルギーを感じさせる作品として描ききった監督(中島哲也)の手腕に脱帽。
そして、その監督の厳しい要求に見事に応えた中谷美紀も。
深田恭子&土屋アンナ主演の「下妻物語」以来の素晴らしい映像センスも必見。
脇を固める豪華な俳優陣の演技も素晴らしい。
個人的には、ガレッジセールのゴリ(ゴリエ)のモヒカンパンクロッカー役がインパクトがあり過ぎた(笑)

10月から、内山理名主演でTVドラマが始まるそうだが、この中谷美紀のインパクトを超えるのは並大抵の役者では難しいだろう。

出演者

中谷美紀
瑛太
伊勢谷友介
香川照之
市川実日子
黒沢あすか
柄本明






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