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『シェルタリング・スカイ』(ネタバレ)

2007/3/27(火) 午後 11:16

ベルナルド・ベルトルッチが『ラストエンペラー』でアカデミー賞を受賞した後に作った映画で、ずっと観たかった作品。


倦怠期の夫婦、キット(妻)とポート(夫)が友人の男性であるタナーと3人で砂漠の国・モロッコへの旅に出かける。

「観光客(ツーリスト)は着いた時に帰る事を考え始めるが、旅行者(トラベラー)は時々帰らない事がある」という冒頭の言葉に、まず共感を覚える。
観光旅行と、何かを発見する手がかりとしての旅は本来全然違うものなのだ。

旅は、とあるホテルのロビーから始まる。
その3人を、ロビーの片隅で一人の老人が見守っている。
結婚して10年、もはや何のときめきも覚えなくなってしまったこの夫婦にとって、それは絆を取り戻す為の旅だったのだろうか。

旅は順調に進んでいるように見えたが、ふとしたきっかけでキットは友人タナーと、ポートは現地の女性と関係を結んでしまう。
二人の絆を取り戻す為だったはずの旅は、お互いの裏切り行為により、より一層その亀裂を深くし、もはや修復不可能なところにまで行ってしまったように思える。
そして、キットとタナーの不倫関係に気付いたポートの策略により、再び夫婦二人きりになるキットとポート。

途中、ポートの想い出の地である見通しの良い美しい崖の上で、二人が性交を重ねる官能的なシーンがある。
その背後には青く広い空。
タイトルにあるシェルタリング・スカイ。
しかしその想い出の地も、二人の仲を取り戻すには至らなかったようだ。

沢山の旅行カバンを抱え、旅を続ける二人。
ポートがパスポートを無くすエピソードは、これから二人の身に降りかかる暗喩なのだろうか。
腸チフスに罹り、次第に体調を崩していくポート。
皮肉にも、この過程でキットは、自分にとっていかにポートが大事だったかを思い知らされる。
しかしポートは、キットの必死の看病も虚しく、ついに旅先で命を落としてしまう。

一人になったキットは、失意のまま砂漠のキャラバンの隊長ベルカシムに拾われ、求められるまま性交を重ねる。
タナーを失い、ポートを失ってたった一人になったキットはこれからどこへ行くのだろうか?

隊長の留守中に女たちに追われたキットは再び行き場を失い、タナーの依頼を受けて探していた領事館員によって、廃人同然の姿で保護される。
「全て失ってしまった。。」
ポツリと、それだけ言うキット。
彼女にはもはやあの沢山の旅行カバンも、お金も、夫も、人間としてのアイデンティティも無い。
そして、キットは再び出発点であるあのホテルのロビーに戻ってくる。

そこで、その様子を見守っていたあの老人ーこれはまさに作者であるポール・ボウルズ本人なのだがーの独白で物語は締めくくられる。
キットのこの先の人生が気にかかる。

シェルタリング・スカイ。。
(シェルター=守ってくれるもの)(スカイ=空)
自分を今まで守ってくれた青い空。。安心。。文明。。

しかしその向こうは真っ暗な闇なのである。

それを、北アフリカの、文明が届きもしない砂漠というこれ以上無いロケーションで、人間が少しづつ何かを失っていった時に果たしてどうなってしまうのかという本当の意味での孤独をベルトルッチ監督は問いかけてくる。

砂漠が織り成す美しい背景と同時に、その意味を何度も考えさせてくれる作品。
坂本龍一の音楽が、少々強調されすぎてうるさく思えたのは残念だ。

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